書評:日本で治療薬が買えなくなる日 (五味洋治)

書名:日本で治療薬が買えなくなる日(宝島社新書・990円)

著者:五味洋治(東京新聞論説委員)


大変に衝撃的なタイトルの書籍である。近年の我国における医薬品に関わる諸問題に鋭く切り込んだ内容となっている。

著者の五味洋治氏は、現在東京新聞の論説委員であるが、中日新聞東京本社へ入社以来記者として活躍し、海外でもソウル支局、中国総局で勤務している。

そのため、本書の内容として我国の医薬品に関わる国際的問題にも触れている。

綿密な取材に基づき構成されており、製薬業界でいま何が起きているか、医薬品不足を招いた重大事件、ジェネリク医薬品の普及は進むのか、薬価を狙い撃ちして起きたこと、日本でのドラッグラグの再燃、さらに薬局、薬剤師は生き残れるのかなど、行政、製薬 関連 企業、及び医薬品を取り扱い国民(患者)に接する薬剤師の問題にも言及し、幅広い視点で現状と将来へ向けての課題を論じている。

日本で医薬品の仕事に携わっている関係者に、各自の業務領域にとどまらず広い視野で我国の医薬品諸問題を俯瞰し、改めて課題を共有するために是非一読をお勧めしたい。

過剰な専門用語を用いずに平易に書かれていることから、医薬品に関心のある一般の皆様にも参考になると思われる。

医薬品関係各位が努力して、本書のタイトルにある日を迎えないようにしたい。

(NPO法人ジェネリック医薬品協議会 2022年7月1日)


2022年07月22日